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唇を指でなぞられゾクゾクする。今からされることに対しての期待と不安だ。
5cmあるはずの身長差を全く感じさせない。
「透子、目は閉じなよ。」
瑞樹から言われて慌てて目を瞑った。
首の後ろに瑞樹の手が触れてゆっくりと距離が近づくのを感じた。
少しだけ触れた柔らかな感触。すぐに離れたけれど今度はしっかりと重なり合った。
柔らかい……これが瑞樹の唇。
ドクドクとうるさい心臓は鳴りやまないし、何度も触れてくる唇に息をするのも忘れて夢中になった。
「鼻で息するんだよ。」
息を止めているのが限界になって瑞樹を突き飛ばして息をしていたら、瑞樹が笑いながら教えてくれた。
「教えるの遅いし……。」
そっぽ向いて答えるアタシ。これは相手が瑞樹で良かったのかもしれない。他の人だったら嫌われてたかも。
「そのくらいの知識はあると思ってたんだよ。」
「すみませんでした!お子様で。」
そう言ってあっかんべーをした。知識があったって実戦で上手くいくとは限らないじゃない。
「じゃあさ、透子。大人のキスしてみる?」
瑞樹の目が怪しく光ったような気がした。
今日の瑞樹はなんか変だ。甘い甘いお菓子のような瑞樹にどんどん惑わされていく。
アタシは返事をしてないのに瑞樹はアタシをソファーに座らせた。
瑞樹が何を考えてそうしているかなんて考える余裕はなかった。
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