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ボーっと前だけを見ていたアタシの視界を瑞樹の手が塞ぐ。そのまま顎を上げられキスの雨が降ってくる唇に頬に額に……くすぐったくて、身を捩ろうとすると強く抱きしめられた。
まるでアタシの身体をなぞって確かめるように。
「透子、口開けてごらん?」
いつもよりずっと優しい瑞樹の声に身体は素直に言うことを聞いた。小さく口を開け瑞樹を待つ。
重ねられた唇の間から瑞樹の舌が入り込んでくる。慣れない感触に戸惑っていると、舌の動きをゆっくりにしてアタシの舌に絡めてきた。
初めてのキス、初めてのディープキス。その相手がまさか瑞樹だなんて。
初めてのディープキスは快感よりも戸惑いが大きくて、それでも瑞樹の動きに少しでも合わせようと動かした。
「っふ、はあ……」
瑞樹の唇から解放されてアタシは必死で呼吸したの。アタシが答えてから瑞樹は全然手加減してくれなくて、息が止まっちゃうかと思った。
「透子はキスの時いい顔するんだね。」
そんなとこまで見てたのか!
「悪趣味!瑞樹のエロ魔人!」
本当に子供の頃から一緒にいたのにこんなテクニックを覚えてるなんてムカつく。
どこからともなく湧いてきたイライラを抑えきれずにティッシュの箱を瑞樹に投げつけてやった。
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