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自分の部署でデスクワークに真剣になっていると、同期の女の子に呼ばれて扉近くに行くと取引先の営業さんの中条さんが立っていた。
「よ、透子ちゃん。コレ、この前出張で北海道に行ったからお土産。透子ちゃん甘いもの好きって言ってたでしょ?」
中条さんはやり手の営業さんだから、とても爽やかな雰囲気だけど何だか苦手。
「ありがとうございます。みんなでいただきますね。」
軽くお辞儀をしてお菓子を受け取る。確かにアタシの好きそうなお菓子ではあるんだけど……中条さんは王子様ではないかな。
「それよりさ、来週の日曜の話考えてくれた?」
「日曜?何かありましたっけ?」
アタシは『瑞樹曰く』容姿だけはいいらしいから割と誘われる。なのでそういうのを一々覚えていない。
「透子ちゃん、一緒に旅行しようって言ったでしょ?」
「りょ…!?」
中条さんと旅行?冗談じゃない。貴方がこの会社の子だけで三人も手を付けてるのは皆が知ってるほど有名なのよ!?
「俺は土曜から一泊でもいいんだけど、透子ちゃんはどう?土日休みだって言ったよね。」
下心を隠そうともしない中条さんに心底嫌悪感を感じて鳥肌が立つ。
皆がこっちを見ているけどどうしよう。
中条さんは大切な取引先の方だから上手くかわさなきゃ。
そう思えば思うほど頭がこんがらがってどうしていいのか分からなくなる。
「中条さん、さっき一課の奥田さんが探していましたよ?待ち合わせの時間過ぎてるんじゃないですか?」
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