夢見るお姫様

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夢見るお姫様

「瑞樹!アタシ今すぐこんな王子様と結婚する!」 見ていた恋愛ドラマが素敵すぎて、飲みに来ていた瑞樹の肩を掴んでがくがくと揺らす。 「はいはい、その王子様候補とやらを毎日取り付く島もなくザクザク切り捨ててる透子がどうやったら結婚できるのかね?」 パッパッとアタシの両手を自分の肩から払いビールの缶を片付ける瑞樹は冷たい幼馴染だと思う。 「だからあ、その方法を瑞樹に一緒に考えて欲しいんじゃん。」 両手を合わせてお願いのポーズをすれば瑞樹はフンと鼻で笑った。 「考える必要なんてないだろ?次に告白してきたやつの返事で首を縦に振ればいい。」 瑞樹は真面目に考えてくれず返事も適当だ。 「その人が王子様とは限らないじゃない!」 「心配ないよ透子。好きになってしまえばその人が透子の王子様だ。簡単だろ?」 ビールの缶の袋を台所に置いて手を洗いながら瑞樹は無表情で答える。 これって冗談とかじゃないのよね…… 「瑞樹はそんな意地悪だからいつまでも背が伸びなかったのよ。」 唯一の瑞樹の欠点を引っ張り出して嫌味を言う。瑞樹は男だけれどアタシより背が低い。アタシは背が高い方で173センチあるから。 「僕の背が低くて透子に迷惑をかけたことは無いと思うけれどね。僕はこうやって毎回透子に迷惑かけられっぱなしだけれど。」 1つ嫌味を言えば倍の文句が返ってくる。それがこの男、綿貫(わたぬき) 瑞樹(みずき)という人物だ。
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