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見つかった王子様?
「ねえ、瑞樹!聞いてるの?」
退社後そのまま瑞樹の家に押し掛けたアタシ。逃げていたことなんてサッパリスッキリ忘れて自分の話を聞かせようとする。
「はいはい。ちゃんと聞くからちょっと待っててくれる?透子だってお腹が空いてるでしょ?」
キッチンで何かを作っている瑞樹はまともに話を聞いてくれない。アタシは今日出会った王子様(?)の話がしたくてしょうがないのに。
休憩が終わった後自分の部署の子に聞いてみたけど、知ってる人はいなかった。
瑞樹は人間関係に詳しいからもしかして知ってるかもという期待もあった。
「はい、お待たせ。じゃあ透子の話を聞こうか?」
目の前にはたっぷりのトマトとエビが乗ったパスタと生ハムのサラダ。美味しそう……。
「いただきます。」
アタシはトマトが大好物だから、瑞樹は冷蔵庫にトマトを必ず置いている。気付いてないふりをしているけれどいつもトマトが出てくるから気付いちゃった。
「おいひい……」
「そう?なら良かった。」
話すのも忘れて夢中で瑞樹の料理を食べて、皿洗いを手伝っている時に王子様の事を思い出した。
「そう!聞いて、瑞樹。アタシ今日王子様に出会った!」
皿を洗い終えて手を拭いていた瑞樹の動きがピタリと止まる。
「……へえ、どんな人?僕が知ってる人?」
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