オタクな神

2/41
55人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
 その週の土曜日に早起きをして朝早くから都内に出向いた。湘南新宿ラインに乗ってから京浜東北線に乗り換えて秋葉原で降りる。ああここか、この空気。僕は待ち望んでいた通りの想像通り大きな街に感動を覚える。いかにもオタク風といった男性がたくさん歩いていた。駅を出て少し歩くとアニメのコスプレをした美少女が僕の横を通り過ぎる。プンと新しい人形のようないい香りがした。僕はリュックからスマートフォンを取り出し、目的のビルの場所を確認する。あからさまに地図のアプリを見ているのは、行き交う人々に田舎者だと思われそうだと腰を丸める。僕は画面を隠すように人差し指を動かした。なかなか、行きたいのビルに行く道が解らない。辺りを見渡すと見知らぬ街の雑踏がせわしなく動く。  ふと前を見ると、古いビルの2階に『中古ゲームあります』の看板があった。下から見上げてもガラス窓には張り紙がペタペタとしてあって中の様子が解らない。ちょっと入り難いが興味があるのも事実だ。僕は中にある階段で2階に上る。その店の自動ドアから中の様子を窺うと眼鏡をかけた若い女の子がいるのが確認出来た。中に入ってみようか。僕は臆しながらも中に入っていった。 「いらっしゃいませ」
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!