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「大丈夫だ。
此処の支配人とは懇意にしている」
いや、懇意にしている人に、縄持ってきてくれと頼む方が恥ずかしくないですか。
っていうか、ご乱心かと思われて、お母様とか監査役に通報されて、監査されますよっ、と思ったとき、光一が受話器を上げたので、花鈴は慌てて指でフックスイッチを押して止めた。
間近にある光一の顔を見上げると、
「……じゃあ、逃げないか」
と光一は受話器をつかんだまま言ってくる。
はっ。
これは、もしや、専務の罠っ?
私が自ら同意するように、わざと阿呆なことをしていたのではっ?
と一瞬、思ってしまったのだが。
その目つきを見ていると、どうもそうではないような気がしてくる。
……この人、たぶん、私と同じくらいテンパっているっ。
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