専務のおうちで同居はじめました

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 ――というようなことを思い出していたせいで恥ずかしくなり、花鈴は、ますます、光一さんと呼べなくなっていた。  そんな花鈴の膝の上に、光一が例のブランケットを投げてくる。 「そう硬くなるな。  それを握って不安をなくせ」  だが、花鈴は、もふもふのそれに触れると、ちょっと笑ってみせた。 「でも、最近は、あんまりこれには頼っていないんですよ。  だから、持って帰ったんです」  ブランケットのもふもふに包まれるより、専務に抱き締められてる方が落ち着くからです、と思っていたが、もちろん、口に出しては言わなかった。  だが、そこで光一が突っ込んでくることはなかったので、きっとわかっているのだろうと花鈴は思った。
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