専務のおうちで同居はじめました

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「あの、あのさ。  今、ちょっと仙子のうちに来てるんだけど、泊まることにな……っ」  言い終わらないうちに、智也は振り返り、母に向かって叫んだようだった。 「おかーさーん、花鈴、今日は、光一のところに泊まるってー」  言ってませんよーっ。  第一、此処、ホテルですしねーっ、と反論する間もなく、兄は初めての夜を迎えようとしている妹にいろいろと注意をしてくる。 「お前、光一に迷惑かけんなよ。  寝相なんとかしろ、いびきもかくなよ」  それ、自分じゃどうしょうないんだけど……。 「お前、小さいとき、自分で鍵開けて、外の道路まで出てって寝てたことがあったから、夢遊病にも気をつけろ」  いや、だからどうやってっ!?  まるで、初めての宿泊訓練に出る子どもに向かって言うようなことを言われ、いや、それ、むしろ、宿泊訓練の前に教えて欲しかった、と思いながら、花鈴は電話を切る。  ホテルの廊下に大の字で寝てたりしたらどうしよう、と思いながら。
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