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言われて、すぐには話が飲み込めなかった。
「え? ……いやっ、違うって! S.Kujoはソースコードの中だけの人だよ?」
「きっかけなんてなんでもいいよ。プログラムから始まる恋があってもいいじゃん」
「いや、ないよ。ない」
「何歳?」
「何歳って……ええと……二十七……かな。……っていうか、僕、顔も知らないし」
「だったら調べればいいじゃん。元は綾斗の会社にいた人なわけでしょ? 今どこにいるか、探せないの?」
「それは、探そうと思えば……S.Kujoのお兄さんが会社にいるから、その人に聞けばわかるかもしれないけど」
「え、ちょっと待って。なんで兄弟で同じ会社にいるの? 偶然……じゃないよね?」
「うん。S.Kujoとそのお兄さんは、社長の息子さんだから」
加宮は目を丸くした。
「何それ、社長の息子!?」
うん、と頷きながらも、自分で言っていて変な感じだった。
S.Kujoが社長の息子であることは知識として知っていたが、それをこんなふうに口に出すと、なんだか違和感がある。
S.Kujoはプログラムの神様で、だから、自分とは交わらない違う次元に住んでいる。綾斗にとってはそういう感覚なのだ。
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