03 綾斗とプログラムの神様3

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 前髪が少し長めでふんわりとセットされた髪型に、優しげな目元。それに細いフレームのメガネが加わって、なんとも癒やし系な顔になる。身長は百八十近くあるが、ほっそりとしていて、まったく威圧を感じない。三十歳とは思えないほど若々しく、まさに子供の頃に抱いた「お兄さん」というイメージがぴったりの人だ。  九条冬重(くじようふゆしげ)営業部長。正式には取締役営業部長というらしい。社長の息子だが、社長はいつも親会社の方にいるので、このラボシステムでは実質のトップであり、アルファだ。  優しげで、生まれつきのエリートというアルファのイメージとは少し違うが、こう見えて、かなりの人たらしだ。  社内で好かれているのはもちろんのこと、ひとたび営業に出向けば、帰る時には事務員の女性陣全員に「お兄さん、お兄さん」と慕われるスキルを持つ。顧客担当者からの信頼も厚いらしい。  ビジネスはウィンウィンじゃないとね、が口癖で、「おたくのシステムを導入したい」と呼ばれていけば、「御社にうちのシステムは必要ありません」と説得して帰ってくることもままあるという、超顧客目線な人だ。それでこの前も副社長の羽柴(はしば)と、 「また断ってきたのか!?」 「だってあそこ、うちのシステム合わないしぃ。あ、違うところの紹介してきたから」 「このぼんくらアルファがぁぁぁ!!」  という会話をしていた。ちなみに副社長はベータだ。
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