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04 プログラムの神様と仕事で会うことに?
ラボシステムは、その新システムの開発元であるJCISの販売代理店でもあり、JCISと大学の間に入って橋渡し的な仕事を行っている。既存システムとの連携プログラムを作るのも、販売代理店としての業務の一環だ。
そして、そのプログラムの仕様は、先輩社員の日野原がすでに手をつけていたのだが、日野原に急ぎの仕事が入ったため、急遽、仕様も綾斗が担当することになったのだそうだ。
仕様を作るためには、大学の担当者と、JCISのシステムエンジニア、この二人とやり取りする必要がある。大学に行くのは、顔つなぎの挨拶と、今後の打ち合わせのためだ。
「僕が社外の人とやり取り、ですか」
綾斗にそんな経験はない。
しかも、JCISは一部上場の大手システム開発会社だ。そんなすごそうなところのSEと、自分がちゃんと話ができるのだろうかと、つい不安を覗かせると、部長が明るい声で言った。
「大丈夫。大学の担当者からの聞き取りはすんでるし、JCISのSEっていうのは、うちの元社員だから」
「あ、そうなんですか?」
それなら、と思わずほっとした声を出すと、部長はにっこり笑った。
「九条重春。僕の弟だよ」
どくんと、心臓が大きく脈打つ。
S.Kujoだ。
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