01 綾斗とプログラムの神様1

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 アルファは人口の一割程度で、能力に優れた者が多く、政治や経済界など、あらゆる分野の上層部を占めている。  ベータは人口の八割を超える、いわば人類のスタンダードだ。  そしてオメガは人口の一割以下で、女だけでなく男も妊娠できる。オメガには発情期があり、その期間はアルファとベータの一部をフェロモンで強く誘惑してしまう。この厄介な体質のため、歴史的に差別を受け続けているが、偏見は時代とともに徐々に緩和してきており、特にオメガ女性の社会的地位の向上は顕著だ。  だからこそ、オメガ女性が主人公になって素敵な男性に愛される物語がドラマになるわけだ。  アルファ役の男優は実際にアルファで、ため息がもれそうなほどかっこいい。綾斗は男だがオメガなので、女性より男性の方が恋愛対象になる。だから、主人公の女性と一緒になって、恋のお相手に一喜一憂できた。 「綾斗は好きだねー、こういうの」  一緒に店に来ていた友人の加宮(かみや)が、あきれたように言いながら隣に来る。加宮とは高校からの腐れ縁だ。綾斗も加宮も男オメガということで仲間意識があり、二十一歳になった今も、こうして一緒に遊ぶ仲だ。 「サエズミリョウが好みなんだ?」 「好みっていうか……まあ、かっこいいよね、文句なく」  少々名残惜しいが、大画面のテレビから離れ、加宮と歩き始める。続きは家でゆっくり見ることにしよう。
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