10 ついに…!

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 つまり、アルファがこの年で童貞というのは、どこかおかしい。  ――のだが、綾斗はぐわっと燃え上がった。  中学の時に噛まれて捨てられて、マッチングで振られまくり、自分はオメガとして不遇だと思っていた。  否。  否である。  自分はこのために、この瞬間のために、オメガとして生まれてきたのだ。  もう歓喜のままに、綾斗は動いていた。  体が急速にマッチングでの勘を取り戻していく。いや、当時よりももっとなめらかに、淫らに、腰をグラインドさせる。その激しい動きに合わせてネクタイが揺れ、綾斗もノットを引き下げた。 「あ……ぁ……ッ」  九条の手が、何かつかもうと床をさまよい、手に当たったサーバーラックのキャスターをつかむ。  そんなものでも、藁にもすがるようにつかもうとする九条の物慣れなさに、もう胸がずきゅんときた。 「かわいい……」 「……ぇ……?」  アルファに対して、普通は使われることのない形容詞だが、それが一番しっくりくる。自分だって余裕なんかないけど、九条も必死で、それがわかって、胸が詰まっていっぱいで、もっと九条を締めつける。
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