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迷わずそう答えると、加宮は、はぁ、とため息をついた。この手の会話はもう何度も加宮としていた。
運命のつがいとは、出会った瞬間に互いに惹かれ合うアルファとオメガのことだ。
遺伝子的な相性が最高になる相手と言われており、この二人がつがいになると、強固な絆で結ばれ、オメガは通常のつがいより大きな力をアルファに与え、アルファは脇目も振らずに生涯そのオメガだけを愛するという。要するに、絶対に幸せになれる相手、というわけだ。
「そんなの、出会えるわけないじゃん」
加宮の言葉に、まあね、と小声で返す。
運命のつがいに出会える人は、ほんの一握りしかいない。わかってはいるけど、ハズレオメガの自分としては、もう運命のつがいに出会うぐらいしか、誰かと一緒になれる気がしないのだ。
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