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明快で、無駄がない。
流れるように書かれたコード。
そして説明コメントが実に的確だった。他人が書いたプログラムなんて、理解に四苦八苦するものなのに、初見ですらすらと処理が頭に入ってくる。
コーディングはただ早ければいい、とりあえず動けばいい。そんなプログラムしか見てこなかった綾斗には衝撃だった。
このプログラムは、後に引き継ぐ人のために書かれている。
そう気づいた時、目の前に積まれる仕事をただ闇雲にこなすだけだった日々に、一筋の光が差し込んだように感じた。
自分も、こんなふうに書きたい。こんなふうに書けるプログラマーになりたい。
自分に必要だったのは、自分の先を行く、手本となる人だったのだと、その存在を得て初めて気づいた。
それからは、その人のプログラムを真似るようになった。その人が手がけたプログラムを貪るように読み、新たな書き方、新たなテクニックを吸収していった。
「実はさ、四月から正社員になれるかもしれないんだ」
「嘘、すごいじゃん!」
加宮の素直な感嘆の声に、綾斗は照れた。
派遣先での働きが評価され、このまま何事もなければ、四月からは派遣先で正社員として働けることになったのだ。
すごく嬉しかった。
ラボシステムでは、オメガだからといって冷遇を受けたことがない。こんな職場でずっと仕事ができたらいいのにと思っていた。
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