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「あー……どうしよう……」
「まなちゃん、うるさい。」
はとこの春香が私のベッドに寝転んで、私の漫画を読みながら言う。
春香は、私が卒業したのと同じとこに通ってる、小学生だ。小学生のくせに、赤ちゃんの頃から落ち着いた性格をしている。精神的には、私より大人なんじゃないかと思うくらいだ。
「誕生日プレゼントは、私♡って言えば良いだけじゃん、ゆき叔父さんに」
「そんなに、簡単じゃないんだよ!お子様には、分かんないよ!!」
私は机に背を向けてベッドの方を向けた椅子に座って、持ってたクッションを抱き締めた。
お子様には分かんないって言いながら、分かんないお子様に恋愛相談する大学生っていうのも、どうかと思う。
けど、これは誰にでも相談出来る話じゃないから、仕方ない。
「だねー、分かんないよねー。なんであんなおじさんが良いかな。全然分かんない」
「そういう意味じゃない……」
ゆきは、私と干支が同じだ。つまり、十二歳も年上。そんなに年上なのに私がゆきを呼び捨てにしてるのは、周りの大人がゆきの事をみんなゆきゆき呼んでたからだ。
本当の名前は、雪彦と言う。去年三十になったとき、気がついたら二十代が終わってたってぼやいてた、もうすぐ三十一歳の誕生日が来る、独身男性。しかも、彼女無し……多分。
「大丈夫だよー。ゆき叔父さん、まなちゃんには激甘だもん」
「欲しいのは、そういう激甘じゃない……」
「うん。あーいうのだよね、まなちゃんの好みは」
春香が読んでたバトル系少年漫画を置いて、棚に入ってる溺愛系少女漫画を指差す。少年漫画はゆきの愛読書で、少女漫画は私の愛読書だ。
「ぴったりじゃん。叔父と姪の禁断ラブ」
「だから、違うってばぁああっ!!」
私はネコの顔の形のクッションを、春香に向かって投げ付けた。
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