花冠とすみれの指輪

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「お控えと……こちら、ご注文頂きましたシリーズのカタログと、商品のイメージで作りましたミニリースです。ちょうど季節ですし、宜しかったらお持ちになって下さい」 「わぁ!」  山本さんが見せてくれたミルク色のサテンリボンが掛かった、白い小さな箱。  片面が()硝子(ガラス)みたいに半透明な蓋になって中身が見えるその箱には、白詰草の造花で作った小さなリースが入っていた。 「素敵……ありがとうございます!」 「良かったね、まな」 「お褒め頂いて、ありがとうございます。宣材で恐縮なのですが、出来はなかなかだと自負しております……お気に召して頂いて、何よりですわ」  山本さんは満足そうに微笑んで、クリスマスだからか濃いグリーンの袋に、一式を収めて渡してくれた。 「お世話になりました。とても楽しかったです」 「本当に、ありがとうございました。楽しかったし……再来週が、楽しみです!」  立ち上がって、二人して山本さんに頭を下げる。 「わざわざお越し頂き、お時間も頂きまして、どうもありがとうございました。本日は大変な失礼も致しまして、申し訳有りません」  山本さんは深々と、マナーのお手本の様なお辞儀をした。安斎さんが、コートや荷物を持って来る。 「失礼致します。お預かりしたお荷物です」  安斎さん……経験から、学んだんだね……って言って良いのかなんて言うのか、私のコートを私には着せかけないで、ゆきに「どうぞ」と手渡している。 「ありがとう。……まな?」 「ん。ありがとう」  ゆきにコートを着せて貰って、さっきの袋も忘れずに持つ。 「本日はありがとうございました。再来週の土曜日のご来店を、お待ち申し上げております」  私達は山本さんと安斎さんに入り口まで送られて、そのお店を後にした。 【終・そして本編28ページに続く/近々再編予定(_ _)】
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