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「いよいよ、成人式なんだねー……」
早いなー、あっと言う間だね、って、ちぃちゃんが赤ちゃんの顔を見る。
「うん。もう少ししたら、写真の前撮りあるんだー。変な季節に、振袖着るの。」
「え!それ、私も見に行きたい!この子連れてって、大丈夫かな?」
「俺は行くからね!休み取ったし、」
「あんた、ほんっとまなが好きだよね……あ。二十歳なら、いよいよ一緒にお酒が飲めるねー」
お酒が好きな梨香ねぇはにやーっと笑った。
……うん。
成人式だし、お酒も飲めるし、誕生日にはいよいよゆきに好きって言うし……今年は、いろいろ忙しい。
「梨香姉は、最近どう?」
「相変わらずだよ。仕事仕事仕事。嫌になるくらい、仕事」
「良いじゃん、仕事が全然有りません!って言うよりは……ゆきは?」
ちぃちゃんが赤ちゃんを抱き直しながら、ゆきに聞く。
「俺?最近?……んーと、転勤が決まった事くらい?」
「えっ」
ゆきの転勤?!
どこに?!
いつ?!
どうしよう……まだ学生だから、付いてけないよ!
そんないろんなことが、頭の中を一瞬でぐるんぐるん回って、めまいがしそう。
「……ああ!転勤なのは、俺じゃなくってー、」
なのにゆきは、のんびりそう付け足した。
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