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茶髪の大男は容赦なく黒髪の男を踏みつけていた足を地につけ、鋭い視線を相手にむけると互いはそのまま視線を停止させる。
その隙に黒髪の男はもう一人の青年の元へと一目散に逃げた。
「イズたん、ライたんがいじめるぅぅ~~~~~~~」
「はいはい。でもあなたにも非があるんですよ。自覚……してくださいね」
「うう……っ」
いじめられたと泣きついてきた黒髪の男の頭を、優しくなでながらその青年が小さくため息をこぼす。
太陽の光に透けるような黄色の髪に琥珀色の瞳の青年、顔は幼く、優しげで、黒髪の男の頭をよしよしとなでる姿は、まるで親のようでもあった。
「後ろの金髪、お前は地界人だな」
不意に話を振られ、金髪の青年が視線を品の悪い男へ移す。
「それが」
「裏切り者が出たとは聞いていたが、まさか本当にいたとはな」
歪めていた口元をさらに歪め、品の悪そうな男が金髪の青年を嫌味に笑う。
「裏切り者ですか……まあ、確かに間違ってませんよ」
金髪の青年はそう返しながら、冷たく笑った。
「バカな男だ。そいつ一人のために地界全てを敵にまわすとはな」
「イズ」
さっきまで品の悪い男と睨み合っていた大男が背後を振り向き、金髪の青年をそう呼んだ。
青年の名前は『イズ=ファートス』(地界人)
童顔と綺麗な顔立ちのせいで子どもっぽくも女性のようだとも見られがちだが、酒もタバコもOKな21歳である。
そして、イズと呼んだ茶髪の大男は天界人。
3人のなかで1番大きいこの大男の名は『ライラ=トーズ』
乱暴で口は悪いが、根はいい人だ。(たぶん)
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