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「そこで土下座でもして、命乞いでもしたら後ろの2人は助けてやってもいいぜ」
品の悪そうな男が口元を歪め、前方に立つ3人の真ん中にいた男に唐突にそう声をかける。
ガザガザ……
声をかけられた黒髪で漆黒の瞳の男は、おもむろにどこからか一人用のゴザを取り出すと、その上にちょこんと正座。
で、
「すみませんでした。どうかお命だけはお助け……」
両手を挙げてなんの迷いもなく頭を下げて命乞いをはじめた。
ドカッ バキッ
周囲の目も気にせずゴザの上で思いっきり命乞いを始めたこの男に、容赦ない拳と蹴りが2発入った。
「いったぁ~い! ライたんが暴力振るうぅ~~」
「お前は何してんだ! いいか、毎度同じことをオレに言わせんな」
「だって、だって」
「だってじゃねぇ――!」
半泣きの黒髪の男の背中をゲシゲシと踏みつけながら、ライたんと呼ばれた茶髪の大男がこれ以上ないくらい不機嫌な顔をする。
「てめえらは地界人か」
「そうだ。怪我したくなかったら、そいつをこちらに渡してもらおうか」
品の悪そうな男がニヤリと気持ち悪い笑みを浮かべて、要求を告げる。
目的は土下座した黒髪で長髪のこの男。
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