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ロミオの仕打ちは両家に知らされ、もちろん、自身の家では追放を食らう。
「ありがとうございます、父上。これで、私も少しは気が晴れることでしょう」
一見、罪を人生をかけて償う姿勢だと感じる。でも。
ニヒルな笑みをせずにはいられない。これから堂々と恋人に近づける。
「ちょっと、そこまで」今までストップをかけてこなかった志保ちゃんが、腰を折る。
「寧々。分かった?」
「・・・・・・」
「この作品、ぴったりでしょ、彼女に」
「・・・・・・私はせいぜい彼の鳥籠のインコにでもなれとでも?」
「いいや?」
「ごめんごめん、再開しよう」志保ちゃんが寧々ちゃんと少し会話を交わした後、再開した。
その直後から、寧々ちゃんの目つきが鋭いものになった。これは「ジュリエット」じゃない。
ロミオが外堀を埋めていくのに、屈しないような、芯のある眼をする。それでは悲恋の物語ではなくなる。それでもいいかとも思えた。だって、今、すごく楽しい。
最終的にアドリブなんかも混じったりして、台本通りには行かなかったけれど、志保ちゃんは「最高に良かった!」と自分の脚本無視の結末でも許してくれているようだった。
「マキ。あなた、芝居のけいけ――んん、何でもないわ」
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