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「いま……志賀って……」
「今日から一年B組に転校してきた〝志賀龍之介〟クンやろ? 制服も新しいし、昼休みに保健室訪ねてくるのなんて、環境の変化に戸惑う新入生くらいのもんやから。ちゅうても入学式はとっくに終わったし、こないな時期に真新しい制服着てるいうたら転校生くらいのもんやで」
「うちは男子校やから服の汚れもヨレも日常茶飯事やもんなー」──まるで見てきたかのように告げてくる。男の服装をよくみればスーツに白衣──この男が先程教室での話の中に登場した〝四楓院先生〟なのではないだろうか。
それでは──……。
「……なんだよ?」
またもじとりとこちらを睨む(本人的には睨んではいないらしい)長身の彼こそが──探し求めていた〝秋月〟という生徒なのだろうか。そういえば先程白衣の彼は確かに『あきづき』と呼んだ気がする。
「君が……秋月君?」
「……あぁ」
「良かった……こんなに早く会えるなんて。オレ、君に会いに来たんだ。良かったらオレと友達になってよ」
「………………は?」
彼から紡がれたその音は。
まるで「わけがわからない」という言葉を代弁しているようで。
自分の中にある期待を、ますます増長させていった。
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