第六話:戯 れ ~月冴からの告白~

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 都合いいように解釈すれば、月冴自身も《小指の先ほどは期待しているかもしれない》とも取れるが《いつ人が来るかもわからないような場所で不逞を働かれては困る》という純粋な羞恥心を表しての反応なのかもしれない。いずれにしても、尚斗の嗜虐心を煽るだけの結果に終わる。  白くほっそりとした首筋に唇を押し当てて、舌先で湿らせた場所をちゅうと吸い上げれば、薄っすらと朱い痕が浮かぶ。痛みか違和感か──なにかを危惧したように月冴が身を捩り、声を上げた。 「ちょっ……! 尚斗っ! そんな見えるところッ……!」 「別に構いやしねぇだろ、もう〝公認の仲〟なんだし。それとも──見えない場所につけられる方が〝興奮する(タチ)〟?」  Tシャツの裾をたくし上げて素肌に触れる。薄っすらと筋の入った腹の上を指先で辿り、肋骨に沿って掌を這わせると痩躯がひくりと揺れた。  敢えて触れなくとも、淡く色づいた乳嘴がはっきり勃ちあがっているのがわかる。唇を寄せその場所を軽く喰むと甘い嬌声が上がった。月冴が咄嗟に自分の口元を掌で覆う。その表情は、〝自分がこんな声を上げるなんてまったく予想していなかった〟とでも言いたげな顔だった。 「可愛い声──なぁ、もっと聞かせてよ?」  片手で腰を抱き込んで、さきほど喰んだ場所をもう一度舐って吸い上げる。声を出すまいと必死に口元を抑えたまま、月冴は首を左右に弱く振った。 〝嫌だ、やめろ〟──それを体現するかのような反応に、ますます嗜虐心を煽られる。    いっそこのままここで犯してしまいたい──そんな酷薄な感情が、尚斗の体内を瞬時に駆け巡った。月冴の両足を割って膝を差し入れる──そのままクッと上向きに自身の膝を持ち上げると、普段ならば柔軟なはずのその場所に固い感触を捉える。いっそう顔を赤らめ、月冴は俯いてしまった。  たったあれだけのことで、月冴自身も先の快楽へと気を昂ぶらせているのか──彼自身が図らずしも表した媚態に自然と喉が鳴った。
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