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「っ、んっ……」
刺激されて僅かに固くなった乳嘴を唇で吸い上げる。己の声に驚いたのか月冴が咄嗟に口を自らの掌で押さえた。その様子に、気を良くする。
「へぇ……?」
今度は舌先でそこを押し潰すようにして刺激すると月冴の華奢な身体がぴくぴくと小刻みに震えた。必死に声を出すまいと、固く目を瞑っている。
舐めて吸い上げ、押し潰しては噛んで──そんなことをしばらく続けていると、密着した月冴の下肢が窮屈そうに布地を押し上げるのが伝わってくる。腰を抱き寄せていた方の手を滑らせ、ジャージの履き口から一気に引き下ろし、顕になった太腿をゆるりと撫で上げながらその中核に下着の上から触れた。
「ひぁっ……!」
さすがに先程よりも驚いたような声を月冴が上げる。他人から触れられることなど、そうそうない場所なのだから、このような反応がある方が正常だ。
「すっかり勃っちまってんな……」
下着の履き口に指をかけ空間を作ってやると、兆したそれが跳ね上がるように上を向いた。腰回りを撫でるようにしながら後ろに手を回し、尻のラインに沿って月冴の下着をおろすと、いままでなすがままだった月冴が、ようやく自分の口を覆っていた手を離した。
「ッ、姫乃井っ!! なにして……」
「なにって……あぁ、もしかしなくても初めてか?」
膝を折るようにして体勢を屈め、顔を近づける。授業が授業だっただけに、汗で蒸れた性器の匂いが鼻についた。先端から滲み出た蜜──雄の精の匂い。
尚斗自身も同じものを持っているし、幾度となく咥えてきたそれらと同じ生殖器官。ただ、月冴のそれがひどく魅力的に思えるのは、尚斗自らが、興味を惹かれたからにほかならなかった。月冴自身も触れることが少ないのか、膨れたそれはいままで見てきたどの生殖器よりも綺麗で、みずみずしい無花果のような淡い色合いを放っている。表皮ごと口に含み、そのまま口腔に導くように飲み込んでいく。頬を窄め舌を使い、徐々に固く張り詰めていく性器に唾液を擦り付けるようにしながら、唇で扱いた。
「ふっ、んぁ……ひめ、の……い、っ、ぁ……」
他人の──それもクラスメイトの口で犯される──月冴の意思とは関係なく。甘い嬌声が漏れ出るのをどうにか押し止めようとまた自分の口を手で覆う。もう片方の手はせめてもの抵抗と言わんばかりに尚斗の肩を押し返そうとしているが、てんで効果がない。月冴にとっては、いま尚斗がしている行為そのものが気持ちいいのかそうでないのかも正常に判断ができなくなっているだろう。ふわふわと熱に浮かされ、漂うように曖昧なラインを彷徨って。
尚斗の肩を押し返す指先の力がだんだん弱まっていく。最初に尚斗が考えていたことは的確でないにしろ、ほぼ〝当たり〟という方へと転がった。思春期の性に打ち勝てず、溺れる──そう予見した、ほぼ、その通りに。
息を飲む──ヒュという音が鳴る。それと同時に、月冴の躰が震え上がった。激しく脈打つ彼の性器が──畝る。どくどくと、尚斗の口腔に熱を流し込む。射精は己の意思では止められない。〝イク〟という行為そのものが、種を残そうとする本能なのだから人の手で堰き止めるなど出来るはずもない。口いっぱいに注がれた精液を、少しずつゆっくり嚥下して一滴も残さぬよう啜り出してから、ようやく月冴のそれを手放した。熱の放出が収まってもなお、半勃ち程度に留まるその姿に、思わず口角が引き上がる。
ふっふっ、と短い息を吐きながら月冴がロッカーに背中から凭れ掛かる。尚斗は構わずにジャージをずり提げて、興奮に満ちて欲望を顕にしたそれを取り出した。
意外なことだが、尚斗の性器も先走りにまみれ、濡れていた。誰かと閨を共にしても実際に行為を始めるまでは勃ちも濡れもしない。それどころか、気が進まなければたとえ道具を使ったとしても上手くいかないのだ。勃つには勃つが不快感だけが残り、結局達することもないまま終えることもある。
今はどうだろう──早く月冴に挿れたくて仕方がない。こんなに気持ちが逸るのは久しぶりだった。
月冴の片足を腕に引っ掛けるようにして持ち上げる。双囊を撫でるように自らの口で湿らせた指先を後孔に充てがうと窄まった菊座のシワをゆっくりと撫でながら解してく。
「なに……、して、る……んだ、よ……?」
震える小ぶりな唇が、小さな音を発した。
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