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しかし、問題はその後である。
僕は、彼女に手紙で告白をしたのだ。その返事を聞きださねばならない。
食堂で昼をコロッケパン一つに済ませて、まだ人気の少ない教室に戻り、僕は、
「鮫島さん」
と、昼休み、一人イヤホンで音楽を自席で聴きながら、コンビニで買ったと思われるサラダパスタを食べる、髪とスカートが短くてちょっとギャルっぽい女子、鮫島さんの肩を軽く叩いて声を掛けた。
「あん? 何?」
鮫島さんは、右耳のイヤホンを外して、鋭い目つきで僕を睨みつけた。
「えっと……隣の白柳さんにさ、手紙読んだー? って聞いてほしくて」
僕がそう言うと、鮫島さんは、は? と眉を潜めて、
「何の手紙? てか自分で聞きゃいいじゃん」
と返した。返しがただただ正論で僕は少し怯みながらも、
「そうかもしれないけど……自分で聞けるなら手紙って方法は取らないわけで……」
と、少ししゅんとしながらそう言うと、鮫島さんは、
「ん? あーー、へえええー」
とニヤニヤして、こちらに身体を向け直して脚を組んだ。
「なるほど〜、君、メイにラブレター書いたんだ〜」
鮫島さんは、申し訳程度に小さくした声でそう言った。白柳さんの下の名前は、メイ、という。
「見かけによらず、やるねー。おっけー。午後の授業の合間とかでそれとなく聞いとくわー」
鮫島さんは快活そうに笑うと、開けていた片耳をイヤホンで閉じた。
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