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そのまま、僕たちは、5時間目の間、周りを本棚に囲われながら、ひっそりと筆談を続けた。
「白柳さんも泣くんだね」
「人間だもの」
との返しに、僕は、クツクツと声を潜めて笑った。白柳さんは最初不満そうな顔をしていたけれど、僕が笑うのをしばらく眺めると、ふふふ、と微笑んだ。
そのまま、筆談で雑談をしたり、ぼーっと心地よい沈黙を保つ中で、5時間目終了のチャイムが鳴った。白柳さんの顔には少し涙のあともあったけれど、赤くなっていた白目の部分はしっかり健康的な白さを取り戻していた。
「もう大丈夫?」
僕は声に出してそう聞いた。白柳さんは、こくり、と頷いて、
「うん、ありがとう」
と言って、立ち上がった。
「じゃあ……またね」
僕と白柳さんは、図書館の前で別れて、それぞれの教室へと戻った。
5時間目の情報科が行われたコンピュータ室から、クラスメイトが少しずつ戻ってくると、
「宍戸、5時間目はどうしたの?」
と声をかけられた。僕は保健室に居た、と答えると、そっか、お大事にね、と言われたきり、特に気にされなかった。
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