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恐らく0.3ミリのシャープペンの芯によってサラサラと整った文字が綴られている、白柳さんのお手紙を読んで、僕は少し目頭が熱くなった。
――良かった……こんな自分が、白柳さんの助けになれて……
そして、こんな思いを抱いている自分に驚いた。
前の自分は、白柳さんかわいい、白柳さんとお付き合いしたい、としか思っていなかったけれど、今の僕は、それよりもなにか……深い感情を抱けているような気がする。
読みながら仕事終わりのサラリーマンが僕の肩に寄りかかってきたけれど、全く嫌な気持ちがしなかった。
僕は、家に帰って、白柳さんに返事を書いた。僕は黒ヤギさんじゃないから、ちゃんと、真摯に彼女に向き合って、返事を書こう、と。
「白柳さんへ
チョコレートありがとう。とても美味しかったです。
泣く姿、白柳さんは見せたくなかったかもしれないけど、あのときはそばに居させてくれてこちらこそありがとう。
僕も白柳さんとの筆談楽しかったです。
泣いた理由を言わなくてごめんねって言っていたけど、言いたくなければ言わなくていいし、言いたくなれば僕は聞きます。気にしなくて大丈夫です。
なんであれ、こんな僕が白柳さんの助けになれたら、それは僕の幸せです。
またなにかあればいつでも言ってね。
これからもよろしく。
宍戸」
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