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買った手袋の片方をラッピングしてもらう。
きれいな包装紙に包まれたそれを受け取り、大事にかばんにしまって家へ帰る。
もう片方は、つけて帰る。
今手にはまっているこの手袋が渋谷とおそろいになるのだ。
それだけで手袋をはめた手が何倍にも暖かく感じる。
ああ、好きだよ。
好き、好きだよ。
絶対に言えやしないこの感情をかばんの中の手袋に託させて。
伝わらない前提の卑怯さを許して。
僕は。
僕は僕は僕は。
君を愛している。
でも口にはしない臆病者だ。
ねえ渋谷。
いつか。
僕の夢を叶え……、いや、やっぱりいいや。
それはきっと、僕だけのものであったほうがいい。
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