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「でさ、どこか行きたい店とかあんの?」
そういえば、考えてもいなかった。
「いや、特には……」
「そ?じゃ、俺の行きたい店行ってもいい?」
「いいよ」
どんな店なんだろう。
「中野は昨日どこか行った?」
「いや、どこも行ってない」
それを聞いた渋谷はなんだか機嫌がよさそうだった。
「ふーん、家でクリパとかすんの?」
「いやしないしない。むしろ渋谷は、昨日なんかいいことあったの?」
気になっていたことを聞く。
すると渋谷は怪訝そうな顔で首をかしげた。
かわいい。
イケメンだな、とはよく思うけど、こういうのはかわいい。
見惚れてしまう。
「え?俺いいことあったの?」
「いやそんなん知らんわ」
アホか、といつものノリでぶった切ってから、はっとした。
そうだった、あいつらといるんじゃない。
渋谷とだった。
やば、またかわいげのない台詞を……。
恐る恐る渋谷を見たが、意外なことに笑顔だった。
「あっはは、確かにww」」
つられて笑いながら、内心ほっとするのだった。
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