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そうこうしているうちに渋谷の行きたがっていた店にたどり着いた。
「って・・・・・・本屋?」
「そ。ほしい漫画があってさ。買うの付き合ってくんね?」
「いいけど」
あざーす、とパリピっぽい笑顔をくれる。
間近だから、こういういつものヘラッとした笑顔にもドキドキしてしまう。
楽しそうに本棚の隙間を縫って歩く渋谷の足取りに迷いはない。
「よくくるの?」
渋谷を知るチャンスだ。
そう思って質問してみる。
「いや、ここはあんまり。でも近所のは発売日によく行くかな」
「へー」
何の漫画を買うのだろう。
気になるけれどBLコーナーに目をやらないように気をつけて、渋谷の行く先を探る。
「あったあった」
少年漫画のコーナーだった。
表紙には胸の大きな女の子が照れたような顔で、こちらを覗っている。
まあまあ露出した衣装の彼女の描かれた漫画を嬉しそうに手に取った。
「知ってる?この漫画、結構人気でさ、主人公がかわいいんだよ」
健気って言うかさ、と嬉しそうに語る渋谷をまともに見れなくて。
浮ついた気持ちがしぼんでゆく。
ごめん、楽しそうに話を聞けなくって。
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