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「あのな、中野はなんか勘違いしてる!?だってさ、推しだぜ!?推しはたとえ男だろうと巨乳だろうと貧乳だろうと、かわいいし、大好きなの。他のやつはどうか知らんけど、俺はこいつが好きだよ、応援したくなる。あ、あと、恋愛感情とかは推しに抱かない主義だからw推しは、尊い生き物なの。人間とは別だよねw」
は、はあ。
いや、えっとその。
なんかもう。
すべてが意外すぎる。
え、ていうかオタクだったんだ?
男でもかわいいんだ?
え??
正直、混乱してよくわからん。
え?
渋谷が、はっとしたように僕を見た。
「あ、もしかして引いた?それならそれでいいんだけどさ、一応言っとくわ。俺、信用できるやつにしかこんなん言わないから」
別に、少年漫画のオタクなことは恥じてないけど、ふれて回るひつようはないじゃんって渋谷はいつものさわやかな笑顔で言った。
混乱してるけれど、誰にでも見せるあのさわやかな笑顔だけしか知らないより、断然幸せだって思う。
また、知らなかった渋谷を知れた。
それは僕にとって幸せなことだ。
嬉しい。
「ありがと、知れて嬉しい」
だから僕も、いつもみたいに無関心なふりをやめて、無表情をやめて素直に笑って見せた。
嬉しいって、伝えたくて。
かわいいとか、そういうのとは程遠くても。
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