1539人が本棚に入れています
本棚に追加
/283ページ
「なっ……」
渋谷が固まった。
頬がじわじわと赤みを帯び、熟れたトマトのように真っ赤になった。
きれいな顔だ。
だけど、綺麗なだけじゃなくて、いろんな表情をする。
どんなときもイケメン、なんてことはないけれど。
だけど、どんな渋谷も僕は好きだよ。
別にオタクだろうと、なんだろうとかまわない。
渋谷だから。
「えっ、あっ、レジ、行かなきゃ」
急に我に返った渋谷が動き出す。
僕もなんだか照れくさくて、下を向いてついていく。
レジのお姉さんにカバーをかけてもらって満足そうにビニール袋を手に店を出た渋谷を追って僕も店を出た。
振り返って渋谷が言う。
「どっか行く??見たいもんある?」
時計を見るともういい時間だった。
「昼にしない?」
それで渋谷も時計を見た。
「そーだね。その辺のファストフードで良い?」
「うん」
最初のコメントを投稿しよう!