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「え、あ、渋谷、お先にどうぞ?」
「いや、中野のほうがちょっと早かったでしょ」
「わかった、僕から言う」
「どぞどぞ」
寒いところで二人でくだらないことで揉めたくなかったから、僕から話すことにした。
「プレゼント交換、今しない?」
だって、手袋なんだから。
「え、いいよ?」
「あざす、渋谷の話は?」
渋谷が、僕に手を伸ばす。
いや、せめて何か一言言ってくれ。
心臓が、準備できてないから、渋谷に聞こえちゃいそうな音を立てる。
ドキドキうるさい心臓の音は渋谷には聞こえてないみたいで、渋谷はそのまま首もとのマフラーをそっと手にし、はずしていった。
「思い出したんだけど、これ結構長いんだよね」
え?
それってどういうことだ?
まさか、切って二つにするとかでもあるまいし。
「これ、昨日母親がくれたんだけどさ、恋人と二人で仲良く巻けるくらい長いやつにしたって冗談言っててw」
母親がくれたんだ。
ひょんなところで気になっていたことが解決した。
って。
え??
恋人と、二人で、仲良く巻ける???
え???
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