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もう、散々だった。
楽しかったはずだった。
デートだったはずだった。
僕は怒りを地面に八つ当たりしながらドスドスと歩いた。
イノシシみたいで、これじゃ渋谷に……ああそうか、もう関係なくなるんだっけ。
このまま、嫌いになるんだろうか。
好きじゃなくなるんだろうか。
迷子な僕はとりあえず、家に近づきそうな道を選んで適当に歩く。
渋谷は無事帰れt……いや、そんなん、関係ないんだ、勝手にすればいい。
でも、不思議なものだ。
歩いてるうちに心が冷めてくる。
あれほど怒りに燃えていたのに、だんだん。
ああ、なんてことをしたんだろう。
怒りの文句よりもその言葉が頭の中身を大きく占めて回り出したとき、僕は後悔して後悔してたまらなかった。
だって!
きっともう、元には戻るまい。
今だに連絡先さえ知らないから、冬休みの今は、会えないし話せなくて。
このまま、きっと終わってしまう。
ごめん、渋谷。
僕が悪かった。
渋谷は、何も悪いことなんかしていなくて。
渋谷がくれたものを僕が信じられなかっただけなのだ。
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