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どうしよ……。
謝らなきゃ、謝らなきゃ……!!
そうしなきゃ、きっともう!!
でもどうやって?
僕は、臆病すぎたんだ、それと、信じてないのに頼りすぎてた。
渋谷!
今どこにいる?
会いたい、会って、謝りたい!
ごめん!
渋谷!!
好きってどんな意味だろうと言ってくれて嬉しかったのに!
どうやったら、お前に会える?
会いたいよ、別れたばっかりなのにね。
女々しすぎて、情緒不安定で、情けなくて、どうしようもない僕だけれど!
そんな僕にも渋谷は優しくしてくれてて!
王子様みたいに、完璧な人間じゃないのは知ってたよ。
案外察しは悪いし、意味のわからない行動もする。
バカだし、パリピだし、アホだけど、優しくていい奴だから好きになった。
イケメンな王子様に見初められたい♡みたいなこと考えたことはなかった。
そういう夢を見てた頃はあったよ。
でも、僕は渋谷にそれを求めたことなんかない。
でも、渋谷の優しさに僕はつけこんでいた。
甘えきっていた。
渋谷は、何も悪くないのに勝手に妙な不安に駆られて、喧嘩なんかしちゃった。
酷いこと言っちゃった。
めちゃくちゃ顔にでる渋谷の傷ついた顔が目に焼き付いている。
渋谷、本当に、ごめん。
今度は、ちゃんと自分から、会いに行かなきゃ。
もう王子様は迎えになんかこない。
こっちから、会いに行かなきゃ。
幸い、理由ならある。
僕は首に巻かれたままのマフラーに触れる。
あったたかったのは、ほんの数時間前。
今はもう、ちょっと冷たすぎる。
でも、僕が、温め直しに行く。
絶対に。
元どおりじゃなくても。
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