下校デート

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終礼は幸いにしてとっとと終わった。 掃除もなし。 「中野ー帰ろーぜ」 「うん!」 下の名前で、呼んでくれたらなー。 とは思うけど、死ぬ可能性にかないから、しばらくはいいや。 「今日の数学面白かったな」 「えー早く終わればいいのにって思ってた」 「それは思ってた、早くデートしたかったしw」 「数学できんのすげえな」 「……」 え? なんで黙ってんの? 普通に思ったこと言っただけなんだが。 不安に思って見上げる。 失言はまずい。 デートが終わっちゃったらやだ。 「やば、中野が褒めてくれた……!」 「……そんな嬉しそうな顔をせんでも」 ぱああっとひまわりの咲いたような笑顔を向けてくる。 ……なんか、こっちが恥ずかしくなってくるじゃん。 「もっと褒めて」 「えーイケメンですね?」 突然言われても。 ニヤケ顔は隠せず。 お互いにね。 だって、なんか。照れるじゃん。 「あざす。でも知ってるわw」 「……あーそう」 そうよね、鏡見れば分かるわな。 相当鈍感でなきゃ。 「でもやっぱ嬉しいわ、好きだよ」 「ひょえ!」 変な声が出て恥ずかしい。 場違いすぎて渋谷が吹き出した。 いや、ええ?! こんな、え、なんでよ。 さっきなんかしましたっけ? 好かれるような、何か。 「あはっあははははははははは、なにその声ウケるwww」 「……サイテー」 「あはははは怒んなよ」 怒っても可愛いけど。 いや、怒らんわっていうツッコミ前にまた殺された。 誉め殺し、っていうのか? 可愛いとか好きとかそんなに言われると困る。 照れるじゃあないか。 というか。こんなに幸せでいいんだろうか。 うーむ、バチが当たるに違いない。 だって、下校デートが実現したら、今度は。 ……手が、繋ぎたいです。
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