1539人が本棚に入れています
本棚に追加
/283ページ
『そんなことないよ』
『まさかぁ~笑』
『あ、私のことは桃子でいいよー』
『じゃあ、桃子ちゃんで』
『はぁーい』
『あ、中野さんって好きな人いるの?』
『えーどう思う?笑』
ぽんぽんと会話が進む。
女子みたいな会話過ぎて、読み返してみて思わず笑ってしまった。
とりあえずごまかしたが大丈夫だっただろうか。
でも、乙女思考の自分としては、こういう話ができる人がいるってのはありがたい。
『えー絶対いるでしょ笑』
『どうかな笑』
『そういう桃子ちゃんはどうなの』
ちょっと腹の探りあいみたい。
こう打って送ってみて、そういえば上野と付き合ってるんだっけと思った。
まあいいか。
『いますよー好きな人』
『あはは、敬語に戻っちゃった』
ごめんなさい、と謝るペリカンのスタンプが送られてきた。
こんなものもあるのか、とスタンプの種類の豊富さに驚いてしまった。
というか、これを見つけ、選択した桃子ちゃんもなかなかだと思う。
面白い。
『え、いるの!どんな人??』
顔すらあいまいなクラスメートだ、やっぱり気になるものがある。
『うーん、あ。中野さん、知ってる人だよ?中野さんのクラスの上野って人』
『……実は知ってた。ごめん。渋谷から聞いた』
『あー裏切りだー笑』
『ごめんー笑』
やばい、楽しいわ。
話しやすいってのももちろんあるけど、ノリっていうの?
波長が合う。
話しててめっちゃ楽しいわ。
しかし、我ながら女子過ぎて笑う。
『いいよ許すっ』
わーい、と喜ぶ猫のスタンプを送る。
あー楽しい。
スマホをいじりながら帰宅し、ご飯を食べたりといろいろしてたけど、ふと今何時なんだろうと時計を見る。
え、嘘でしょう。
渋谷との電話まで後五分!?
やばい、もうほとんど8をさしている時計の短針を恨めしげににらんでみる。
何にも変わんない。
心の準備なんかしてなかった。
とりあえず、声を出してみる。
「あ、あー。本日は晴天なり」
うん、声は出る。
トゥルルルルル……
ええっもう!?
時計を見るとジャスト。
こういうところはマメなんだから。
そういうところも好きだけど!!
スリーコールの前に出なきゃ。
慌てて手にしたスマホを取り落としそうになる。
慌てすぎ。
「はいっもしもしっ」
最初のコメントを投稿しよう!