下校デート

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「一生、一緒にいよう」 「へっ?」 思ってもみないことだった。 そんなこと言われるなんて思ってなかった。 正直驚いた。 驚いたなんてもんじゃない、おったまげた。 余談だけど、たまげたって魂消たって書く。 だから僕は今、魂が消えるほど驚いたってことだ。 ほんと、その通りなんだけど。 「あはは、そんな驚く?」 「う、うん」 そりゃそうでしょう。 今は愛していただけてるとて、長続きする夢だとは正直思っていなかった。 あるあるの卒業とともにうやむやになって……が結末なんだろうと思ってた。 「お姫様にするって言ったじゃんw」 「あーうん、言ってたね?」 真に受けるほど、阿保じゃないから。 だってそれってパリピ流の冗談でしょう? 「だから。それから二人は末永く幸せに暮らしましたとさ、をやるんだってば」 え、マジなの? これ、本気でやる気なの? 絶対こういうこと言っといて最後捨てられるやつじゃん。 目に見えてるわい。 「だからさ、一生一緒にいようぜ」 でも。 信じたい。 だって好きだから。 「うん、そうしよう」 たとえ一時の夢であろうと、見ていたい。 そう思うのは、きっと虚しくなんかない。
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