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渋谷の姿が見えなくなると、桃子ちゃんはふうーっとため息をついた。
思わずビクリとする。
何を言われるんだろうと身構える。
「いやーほんとごめんなさい!!」
「はあ?」
桃子ちゃんはパチンと手を合わせて笑った。
僕らの仲を壊したくてわざとやったんだろうか。
だとしたら。
「あ、いやいや違いますってそうじゃなくて!あいつ、一生を誓った相手がいるーって家で浮かれてたんだけど、なーんにも将来のことも考えずに、気楽~に言ってて。正直イラッとしたの。たぶん中野さんのことだろうなーとは思ってたから、カマかけて、その覚悟のかたさを聞きたかったの。差別される可能性や理不尽な目にあう可能性は、あるわけでしょ?それでも、一生を誓えるのか、確かめたくて。……勝手なことしてごめんなさい。気持ち悪いとは思ってません。本当に、ごめんなさい」
僕は唖然として桃子ちゃんの告白を聞いていた。
確かに暴走しているし、むちゃくちゃだけど、僕はちょっと嬉しくさえあった。
そんなこと考えてくれてたんだな、と。
結構驚きのやり方だし、ドキドキしたけど。
桃子ちゃんは僕のことを不安そうに見ている。
たぶん、返事をするべきだろう。
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