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「えーっと、正直怖かったし、びっくりしたけど」
「ごめんなさい!」
そう、こんな感じでいい子なんだよね。
「でも、嬉しかった、かな。ありがとう。自分じゃうまく聞けないし」
そうなんだよね、さすがに言えない。
本当に一生?
どんなつもりで言ってる?
そんなことなかなか聞けないから。
「ほ、ほんとですか?」
「うん」
「よかったー」
桃子ちゃんはそう言って安堵の息を漏らした。
「よかれ、と思ってやったんですけど、そのままのほうが幸せだったかもしれないって言い終えてから思っちゃって……」
「あーあるよねそれー」
「そうなんですよー。自分の思惑がうまく相手に伝わってないと余計に引っ掻き回しただけで終わっちゃったりするし」
「そうそう」
勇気あるよ、ほんと。助かったし嬉しかった。
そう伝えると桃子ちゃんはにぱっと笑って頷いた。
「頑張ってくださいね」
翔も、アホであんまり考えないだけで、嫌な奴じゃないんです。悪気があるわけじゃないから、きっとうまくいきますよ。
そうにこにこと言う桃子ちゃんはなんだかちょっと眩しかった。
そうなるといいな、なんて言いつつ桃子ちゃんと別れた。
一人になった途端、どっと押し寄せてきた。
なんだかもう何もかも投げ出したくなるような気持ちとか、疲れとか、悲しみとか怒りとか。
なんだかどうしようもない気分になっちゃって、家に帰りたくてたまらない一心で家へと向かった。
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