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ベッドに倒れこむと僕は目をつむってひたすら息をしていた。
吸って、吐いて、吸って、吐いて。
たまに吐かずに息を止める。
息苦しくなったら呼吸を再開する。
心臓の音だけを聞きながら無音の真っ暗な部屋でひたすらに呼吸だけを繰り返す。
うん、もう大丈夫。
さすがに大丈夫。
頑張れる。
渋谷は、僕と別れたがるだろうか。
一生をまた誓ってくれるだろうか。
薄々というか本当は、何も考えずに感情のみで渋谷が愛を誓っていたのは知っていた。
別に、夢だった下校デートも、渋谷の恋人としてできたから別れたって大丈夫。
大丈夫じゃないけど大丈夫。
平気。
渋谷が別れようって言ったら頷いていいよって言う心の準備もできてる。
虚勢だし嘘だけど、大丈夫。
言える。
でもやっぱり期待しちゃう。
それは許されるよね?
それくらいはいいよね。
誰が何と言おうと一生愛し合おう、とか、そういうのを言ってくれるところを想像するくらいは許されるよね。
いいよね?
泣くのも、許してもらえるよね?
誰だかわからない誰かに許しを請いながら僕は泣いた。
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