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「うーん、そうじゃないと、祈りたいかも……ってなんで知ってんの?」 僕の返事を聞いて四谷が呆れたように返した。 「いや、あのハッピーオーラとか傍にいればわかるでしょ。てか、中野って結構わかりやすいよね?」 うんうん、と他の二人がうなづく。 まじか。 割とショックだ。 「まあ、よくわかんねーけどガンバ!!」 「いやわかってねーのかよ」 「いてえ」 落合が二カッといい笑顔を見せると、その頭を早稲田が容赦なく叩いた。 四谷が仏のような顔で見守る。 いつもの光景だった。 なんとなく、それが嬉しくて心細い。 いつの間にか四谷がそばに寄ってきて囁いた。 「渋谷、今めっちゃ悩んでるんだと思う。安心して信じとけ」 「なっ」 なんで!!! そこまで知っているんだ!! 「あーあいつらは多分気づいてないよ」 そうなのか、ってお前は気づいたのかよ! やば! 内緒にしてくれるようジェスチャーで頼むと、四谷は慈悲深い笑顔でうなづいた。 まじで仏やん。 って。渋谷が相手だと気づかれていたことに驚いて、セリフの大事さに気づかなかった。 そこまで見抜いてて、否定してこないで応援してくれることに驚く。 ゲイだなんて、気持ち悪くないんだろうか。 本当にいいやつだなぁと思う。 「四谷、ありがと」 「うん」 「おいおい何があったんだ!?」 「お前は知らんでいいわ!」 「そ、そういうお前は知ってんのか!?」 「いや知らん」 「「「知らないんかい!!」」」 落合と四谷と突っ込みが被る。 「はい、どーもありがとうございましたーー」 早稲田が〆て、四人で笑った。 笑いながら僕は、そうだよな、笑って待っててもいいんだよなーと思った。
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