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結局、あの日から3日、渋谷とは一切口も聞かずに目も合わせずに経った。
寂しくなかったとは言えない。
めっちゃ寂しかった。
夜になると、いっくら昼間が楽しく過ごせてもダメだった。
前に戻ったのと同じはずなのに、何かが足りないようにさみしくて、辛くて、泣けてくるのだ。
わかってるはずではあった。
多分。
そのつもりなだけで、ちっともそうじゃなかったんだ。
そう気づくには遅すぎたけど。
永遠が本当に「永遠」ではないことや、一時の戯れであることくらい、わかってるつもりだった。
多分このままダメになるんじゃないかと思う。
多分、もう、無理なんだよな。
きっと渋谷は可愛い女の子か何かと付き合って、もしかしたら結婚して。
もしかしたら男かもしれない。
細身で綺麗で、素直でかわいい、理想的な男。
あまり偏見とか抵抗とか、無いようだったから。
僕は自室のベッドの上で、ぎゅっと丸くなった。
握り締めたスマホは、2月になっていた。あと3日もすれば渋谷の誕生日。
多分祝えない他人の誕生日まであと何日か、未だに数えてしまっている。
そんな女々しいというか、未練がましい自分が嫌になる。
ブブーッ
唐突に鳴った通知音に驚き、スマホを手放す。
スマホは、渋谷の名前と猫のアイコンを表示していた。
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