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待ちわびてた桃子ちゃんの登場はもはや神々しいバックミュージックが聞こえそうだった。
気まずい時間から開放される。
気軽に話しかけていいかわかんなかったから、傍にいても話せないのが辛かった。
「待ってた?ごめんー!」
わざとなのだろうか、明るく言って僕と渋谷にすまなそうに笑いかける。
手を合わせてごめんのジェスチャーをしながら駆け寄ってくる。
救いの女神かよ。
「ああ、うん。行こうか」
渋谷が不機嫌そうにそういって歩き出した。
「えーねえ冷たくなぁい?」
「ソンナコトナイヨ」
棒読みすぎーwww
桃子ちゃんがそういいながら吹き出す。
僕も危うく釣られて吹き出しそうになった。
危ない危ない。
渋谷の後についてゆくと、そこは公園だった。
僕も桃子ちゃんも知らなかった、ちょっとさびれた感じのするもの寂しい公園。
「話があるのですが」
渋谷が切り出す。
息をつめて返事を待つ。
今更になって、僕は桃子ちゃんがいることに違和感を覚えた。
バクバクと心臓が騒ぐ。
「俺、中野と別れる気ないわ。桃子、俺らが気持ち悪いなら縁切ってくれていいよ。人生で初めてってくらいめっちゃ悩んだし迷ったけど、好きなもんは好きだし、別に悪いことはしてないじゃん。だから、嫌ならそっちが勝手に離れてってくれる?俺はそれは止めないかな。でも中野を傷つけることしたら怒るし、軽蔑する」
渋谷が僕のほうに向き直って口を開く。
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