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バクバクしてる心臓が未だに渋谷の台詞を飲み込めずにただ鼓動だけを刻み続けている。 「中野、ごめん。本当にごめん。傷つけたよね。俺は正直、カッコつけてるけど、全然王子様でもないしカッコよくもない。そんな俺でもいいなら、俺は中野と付き合っていたい。一生、一緒にいたい。中野、好きだよ。何があっても、絶対に世間体みたいな馬鹿な理由で中野と別れようとは思わない。ごめん。これからは、ちゃんと、できる限りだけど、考えるから。……愛想、つかさないで」 渋谷が僕よりも背が高いはずなのに懇願する小さな子のように見える。 正直、頭が追いつかない。 でも、よくわからない頭なりに出た結論だけはある。 「僕は、ずっと渋谷のことが好きだよ」 正直まだ好きでいてくれてるなんて信じられなかった。 嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて……!! 涙が溢れた。 もともと綺麗でもない顔がもっともっと崩れるのを自覚する。 それでも、涙は止まってくれなかった。 「中野、愛してる。ほんとごめん。ごめん、まだ好きでいてくれてありがとう」 渋谷がそういいながらぎゅっと抱きしめてくれる。 僕の背に回った渋谷の手が震えているのを感じて、渋谷も不安だったんだなと思った。 二人で何分も何分もそのまま抱き合っていた。 お互いの存在が夢じゃないか確かめ合っていた。 好きとか愛とか、形のない何か大事なものを共有していた。
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