イチャイチャ日和と誕生日

4/17

1539人が本棚に入れています
本棚に追加
/283ページ
下校デート、駅までのわずかな至福の時。 明日は渋谷の誕生日。 そんな2月9日ですが、たった今当の渋谷から爆弾が投下されました。 「あ、ねー中野。明日なんの日か知ってる?」 もちろん承知でございます、貴方様のお誕生日でありましょう、閣下。 なーんてね。 「うん、渋谷の誕生日でしょ?」 「あ、なんだ覚えてたのか。忘れられてるかと思ってたわw」 色々あったしな、と呟く渋谷に本当だなと内心同意しつつ返す。 「忘れるわけないじゃんw」 嘘でございます閣下、ほんの数時間前までは忘れておりました。 「そっかー嬉しいわ」 うっ。 良心が痛むが、必要経費じゃ仕方あるめぇ。 夫婦円満ならぬ恋人円満のための必要経費じゃわい。 「んーまあね」 申し訳ないなーと思いつつ、程々の温度の返事をする。 「明日、なんかしてくれるの?」 「へ?」 なんか“して”くれるの? え、僕が何かしたほうがいいと思ってる感じ? して欲しいことでもあんの? ええ? てか、キラキラした瞳で見つめないで欲しいのだが。 ただでさえイケメンなのに、逆らえないキラキラパワーを出してくるなよ。 「なんかして欲しいこと、あんの?」 恐る恐る言うと、渋谷のキラキラパワーが3割増になった。 「……ないの?」 言わぬなら、見て見ぬ振りをしてしまえ。 「……あるには、あるのですが」 わーお珍しい。敬語で返ってきた。 「なんだね」 なんでも聞いてあげよう、と続きそうな調子で聞く。 別に、なんでもじゃないけど。 聞けるならなんでも聞くけど、無理なものは無理だし。 「ええと」 「言うてみ言うてみ」 「……その、キスがしたいです」
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1539人が本棚に入れています
本棚に追加