イチャイチャ日和と誕生日

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家のベッドに倒れ込み、意味のない音を漏らす。 この感情をどこにやれば。 ハイテンションでいつのまにか進展しすぎじゃなかろうか。 どっか他人事のように話を進めていたけれど、今、自分のことなんだと頭が追いついた。 今日の放課後あったことのおさらいをしよう。 一、明日の渋谷の誕生日に渋谷にファーストキスをあげることになった 二、渋谷と初ハグをした 三、渋谷にウインクされた(しかも渋谷にとって初めて!) い、以上でいいんでしょうか。 本当に僕にあった出来事でいいんでしょうか。 現実だったのでしょうか。 ああ、もはや自分が恐ろしい。 よくこんなことできたな。 すごい、もはや尊敬の念さえ抱く。 なんにせよ、幸福で死ねそう。 なにこれ、本当に、本当に……!! 明日、渋谷とキスする。 そう意識した途端、ああ、どうすれば! 無意識に唇に手をやっていた自分を発見し、また赤面する。 あ、そうだ、今夜、リップクリーム塗って寝よ。 流石にその場でいつもと違ってテカってたら嫌だろうけど。 少しはガサガサしてない唇がいいよな、キスするなら。 ……渋谷が、僕とキスしたいって思っててくれてよかった。 友情の延長線上じゃ無くて。 恋人扱いなのが嬉しい。 わかってるよ。 恋人なことくらい。 それでさえ夢かと思うのに、キス、させてくれるんだ。 したいって思ってくれたんだ。 嬉しい。 あまりに嬉しくて、現実味が薄すぎる。 本当にキスなんかしたら、僕は壊れちゃうんじゃなかろうか。 それともこの夢みたいな現実が壊れたりするんじゃなかろうか。 あれ、そういやこいつ男だったわ、キモ。 とかならないだろうか。 それでも、キスしたいと思うのは。 相手が、渋谷だからだ。 きっとならないって信じてるから。 ああ、好きだなぁ。 明日が、楽しみだ。
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