イチャイチャ日和と誕生日

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朝、待ち合わせしていた渋谷に向かって駆け寄った。 「誕生日おめでとう!」 「はは、ありがと。……今日は楽しみだね?」 いやいやいや、どんなキャラだよ! BLの攻めかよ! ねえ、どうしてくれるんだよ、ときめいちゃったじゃん! 顔、赤くなるじゃん。 「放課後、だよな?」 一応確認する。 「んーそうじゃね?それとも学校がいい?」 「な、なわけ!」 いい加減にしろ、と脇を小突く。 ふふふ、と楽しそうに笑みをこぼしながら渋谷が僕の手を取る。 いや、ここ道路。 てか他の人もいるから。 そのまま繋ぐんじゃないかとヒヤヒヤしながら見ていると、渋谷は僕の手に挨拶のキスをする王子様のようなポーズをとり、にっこりと言った。 「お姫様、学校までお供していただけますか?」 渋谷が綺麗な顔でにっこりと微笑みながら、真っ赤な頰で僕をエスコートする。 イケメンって、ほんと罪だ。 「もちろんよ、王子様……って、そんなんやるかアホ!とっとと行こう」 目一杯高い声で気取って言った後、パシリと手を振り払った。 そのまま、エスコートされたいだとか、本当に手にキスしてくれてよかったのにだとか思った自分を見ないふりした。 「も〜酷いなぁ」 そう言いつつも渋谷が僕に軽くぶつかってくる。 ふわっと少しだけいい匂いがした。 イケメンって、香りまで良いのだろうか。 僕も嬉しくなって軽くぶつかる。 二人でぶつかり合ううちに学校へと着いた。
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