1539人が本棚に入れています
本棚に追加
思わず目を瞑った僕の頰に渋谷が手を添える。
チュッと軽い音がして、渋谷の唇が触れ、離れた。
たったそれだけなのに、なんだか永遠のようで、スローに思えた。
心臓の鼓動と互いの息づかいだけが、静かな空間に聞こえる。
ぱちっと目が合うと渋谷がにこりと溶けるように笑んで、また顔を近づけた。
次は、溶かされそうなキスをされた。
深く、渋谷の舌が入り込んで、僕の口を溶かす。
「っふ、あ……」
「……っは、かーわい♡」
別に綺麗でもなくて、可愛くもないのに。
耳まで朱に染めた渋谷が艶っぽく微笑む。
イケメンって、本当にむかつくくらいいい顔なんだから。
……照れる。
「耳まで真っ赤ー」
「渋谷も」
「あはは、幸せだなー」
「ね」
甘ったるい時が流れる。
幸せな蜜みたいな甘々な時間。
思わず頰が緩む。
「あーかわいい、ほんと、好きだよ」
渋谷がそう言って僕の頰を弄ぶ。
「……僕も」
思わず素直にそう返すと、渋谷が豆鉄砲を食らった鳩みたいな顔して僕をまじまじと見た。
そしてあっという間にガバッと抱きしめられた。
恐る恐る、その背に手を回す。
「愛してる、一生、幸せになろ」
「……ん」
そのままぎゅーとしたまま離れずにいる。
離れたくない。
温かな渋谷の体が、これは夢じゃないと伝えてくれる。
なんだかほんわりとして、幸せ色の夢を見ているような、ふわふわして気分。
幸せすぎて、おかしくなりそう。
最初のコメントを投稿しよう!